Jコインはアプリかインフラか?金の流れのラスト1インチを支配するのは誰だ?

 日本国内の銀行・ゆうちょが連合で仮想通貨(Jコイン:仮称)を創設するという発表がされた。

 Jコインは”円と等価交換”、つまりBitcoinのように値上がりしない、点についてネットからは「意味が分からない」「電子マネーと同じ」「ガラパゴス」など困惑の声が上がっています。

www.nikkei.com

 

 しかし、肯定的な視点でJコインを眺めると、なかなか良い所を突いていることが分かる。ポイント3つ。

 

(1)クレジットカードを持てないユーザを狙う

 コンビニでamazonギフトカードやiTunesカードを見かけたことありませんか?あれって、クレジットカードを持ってない人のためのものです。

 Jコインは、このクレジットカードを持たないユーザ、学生や老人を狙うことができます。

 

 

 

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(2)銀行が運営するため銀行口座からシームレスに入出金できる

 Bitcoinを買うにはどうすればよいでしょうか?両替所(交換所)で円とBitcoinを交換するのです。この時の円は銀行から降ろす、あるいはクレジットカードで払う必要があります。この銀行口座との金の引き出し(ラスト1インチ)が煩わしい。

 Jコインを円と交換するとき、自分の銀行口座から直接Jコインと円を交換できる可能性が高い。なんといっても銀行がJコインを運営しているのですから。オートチャージも可能でしょう。

 apple payなどのクレジットカード無しでネットで決済に使える仕組みはこれまでありましたが、これも銀行口座の現金をapple payにチャージするのが面倒でした。Jコインはこれを解決できます。

 

(3)銀行振込が安くなる

 銀行振り込みの手数料ってなんであんなに高いのでしょう?みずほ銀行から他行へ3万円以上振り込もうとすると、手数料は648円!、めちゃくちゃ高い。 

 Jコインで振り込めばその手数料も限りなくゼロに抑えることができます。銀行連合がJコインを運営しているのですから、ユーザにはJコインを見せずに見かけ上は口座から口座への振り込みに見せかけることも可能です。

 例えるなら、固定電話がIP電話に変わったとき、見た目は何も変わらないが裏で動く仕組みが変わっており、それによりコストが大幅に下がったことと同じです。

 

その他

 Bitocoinのように値上がり・値下がりしないJコインを、つまらないと思う人もいると思います。しかし、中国が仮想通貨を大幅に規制するように、国家にとっては通貨は重大事項です。Jコインが円と等価としたのは、国家にも考慮した大人の事情でしょう。

www.asahi.com

 

まとめ

 Jコインを肯定的に見ると、なかなか良い所がある。

 特に、金の流れのラスト1インチ、銀行口座と電子マネーチャージ、のわずらわしさを解消できる可能性がある。銀行口座を抑えているのは銀行であるためだ。

 さらにB2Bとして考えると、Jコインの仕組みを使って銀行間の振り込みを行うことでコストを大幅に抑えることができる。これが発展すると、現在の銀行間取引ネットワークを徐々にJコインの仕組みで置き換え、コスト削減が可能だ。こうしてJコインは仮想通貨としてのアプリケーションではなく、通貨流通のインフラとなり得る。

 これまでapple payにしろ何にしろオンライン決済アプリケーションは、クレジットカードやSUICAというインフラの上に成り立っていた。Jコインは新しいインフラとして多くのアプリケーションを発展させる可能性がある。