バラの殺菌剤の選び方、ローテーションも考えて

　バラを育てていると、病気や害虫の被害によりバラが元気をなくすことがあります。この記事では、病気について書いていきます。害虫については別記事に書いていますので、宜しかったら参照ください。

　バラの病気はほとんどがうどん粉病と黒星病で、これらを防げば、バラは元気に育ちます。これらを防ぐためには、殺菌剤（消毒薬とも呼ばれます）を散布するのが効果的です。しかし、ホームセンターで売っている薬品が多くて何を使えばいいのか分かりにくいですよね。

　私はバラを育てて9年目ですが、最初のうちは色々と試行錯誤しました。だんだんコツが分かってきましたので、ベストだと思う方法をまとめます。ポイントは薬剤のローテーションと、予防薬と治療薬の二つを使うことです。

　うどん粉病と黒星病は、カビの仲間である糸状菌により起こります。この菌は土の中にいて、雨が降った時や水やりの時に土が葉に跳ねて、バラに菌が付着します。そしてこの菌が菌糸を伸ばして、病気を発症します。

　バラの病気を防ぐために、菌を殺す薬剤（殺菌剤）を散布します。ところがその際に死なずに生き残る菌がわずかですがいます。同じ薬剤を使い続けると、その薬剤で死なない菌（耐性菌）が増えてきて、次第にその薬剤が利かなくなってきます。

　これを防ぐために殺菌剤のローテーションを行います。つまり、成分の異なる薬剤を複数用意して、順番に使っていくわけです。

　ここで注意があります。商品名の異なる薬剤でも、成分が同じ・あるいは似ているものが結構多いのです。例えば、サブロール、サルバトーレ、トリフミンは成分が似ているので、ローテーションの効果が期待できません。つまり耐性菌が出てきて、次第に薬剤が利かなくなります。

　実は殺菌剤には2種類あります。発病前の菌を殺す殺菌剤と、発病後の菌を殺す殺菌剤の2種類です。前者を予防薬、後者を治療薬と呼ぶこともあります。この二つの役割を同時に果たす薬剤は今のところありません。そこで、2種類の薬剤を混ぜて使うのが効果的です。

　まずは、ホームセンターでも売っている代表的な薬剤をまとめます。

　予防薬として代表的なものを以下の表にまとめました。ローテーションとしては、A→B→C→Aと順番に使っていけば完璧です。

　治療薬として代表的なものを以下の表にまとめました。ローテーションとしては、ア→イ→ウ→アと順番に使っていけば完璧です。

分類	系統	薬品名	作用点	薬品害の出やすさ
ア	アニリノピリミジン系	ピリカット	メチオニン生合成を阻害し、菌の成長を抑制	低リスク
イ	EBI系	サブロール、サルバトーレ、トリフミン	病原菌の細胞膜の主要成分であるエルゴステロールの生合成を阻害し、菌の成長を抑制	中リスク
ウ	ベンゾイミダゾール系	トップジンM、ベンレート	病原菌の細胞分裂を阻害し、菌の成長を抑制	中リスク

　私の薬剤の使い方を具体的に書いてみます

　3月に、予防薬だけを撒きます。私が使っているのは、サンボルドーです。3月には病気は起こらないのですが、バラの芽や土に潜む菌を殺菌するつもりで撒いています。

　それ以降は、次のように薬剤を撒いています。